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Linkly AI 1.0 正式リリース:個人のコンテキストを管理するツール

こんにちは。Linkly AI 創業者の Kane です。今日は、コンテキスト管理ツール Linkly AI の初の正式版、v1.0 をご紹介します。

Linkly AI 1.0 のメイン画面

図版は元のスクリーンショットを日本語に翻訳したものです。

1.0 を出すまでの半年

Vibe Coding の時代に、私たちは少し時代に逆行するようなことをしていました。ソフトウェアが一週間、あるいは一日で使い捨てられるようになりつつある中、ひとつの正式版を磨き上げるのに半年をかけたのです。

この半年、私と二人の仲間は、ほぼ毎週新しいバージョンを公開してきました。数千人の初期ユーザーとともに、検索ボックスと四つの MCP ツールしかなかった素朴な製品を、少しずつ個人のコンテキストを管理する拠点へと育ててきました。

ところが、その正式版がほぼ完成していた一か月前、私はリリースを止めました。

開発を始めた理由

Linkly AI の出発点は、昨年から私が強く感じていた、ある願いでした。AI ツールを使い込むほど、十数年かけて蓄積したノートや資料を、AI に手間なく読ませたいと思うようになったのです。

もうひとつの理由は妻でした。博士課程に在籍していた妻は、毎日、数十 GB もの PDF やマルチメディア資料を探し、読み、比較する作業を繰り返していました。当時の ChatGPT をはじめとする AI ツールでは、その要望を満たせませんでした。大量の資料を簡単に管理でき、AI が必要としたときに該当する箇所を見つけて使えるものが必要だったのです。

こうした思いから、今年二月に Linkly AI の開発を始め、三月に最初のデモを公開しました。それからは週に一度のペースで更新を続け、ナレッジ管理の収集・管理・活用という一連の流れを少しずつ整えてきました。Agent にとっても使いやすい仕組みを目指してきました。

試行錯誤の道のり

ファイルを中心としたコンテキスト管理ツールは、どんな姿であるべきか。私たちも手探りでした。

最初はノートアプリのようなものか、クラウドストレージのようなものかとも考えましたが、まずは検索ツールから始めるべきだと感じました。ほとんどの AI に欠けていたのは、適切なコンテキストを見つけて読む力だったからです。初期の段階でうまく機能していた Agent も、コンテキストの検索と組み立てが優れているものが多くありました。そもそも、ナレッジを管理する大きな目的のひとつが検索です。

そのため、私たちは検索に力を注ぎ、それ以外の管理機能にはあまり手を付けませんでした。当時は、OS 標準のファイル管理で十分なのではないかと考えていたのです。

初期バージョンの検索画面

五月には Chat 機能の追加を決め、その後、起動時の標準画面にしました。人にとって検索は作業の一工程にすぎず、それほど頻繁に行うものでもありません。使いこなすのも簡単ではなく、検索しただけでは仕事は終わりません。その先には、資料を読む作業や、Agent に持ち込んで作業を続ける手間が残ります。Chat や Agent のほうが自由度が高く、最終的な成果まで届けやすいのではないかと考えました。

Chat を中心とした旧バージョンの画面

しかし、正式版のリリース準備を進めていた一か月前、ある日、私はこの方向自体が違うのではないかと感じました。世の中に、また新しい Chatbot や Agent が必要なのだろうか。自分のコンテキストや知識を管理する製品を探している人が、求めているのはこういうものなのだろうか。さらに気になったのは、Chat 機能を公開してから、ユーザーのアクティベーション率が上がるどころか下がっていたことでした。

一晩考え、翌日にはリリース準備を止めました。そして、今の製品の方向は違うとチームに伝えました。私たちが目指すべきなのは、もうひとつの AI チャット画面ではなく、ユーザーのコンテキストを管理する拠点です。独立したコンテキスト管理ツールであり、主要な AI Agent を拡張するプラグインでもある。その原点に戻る必要がありました。

収集・管理・活用のうち、それまでの私たちは「活用」にほとんどの力を注いでいました。検索、Chat、MCP、CLI、Skills を優先すればよく、画面にはそれほど力を入れなくてもよいと、当然のように考えていたのです。しかし、ユーザーが最も困り、最も気にかけていたのは、使いやすく充実したナレッジ管理でした。管理には手をかけたくない。でも、いちばん不安が残るのも管理なのです。

答えを見つけるには、まず話を聞く必要がありました。そこで多くのユーザーとじっくり話し合いました。こんな声が寄せられました。

  • 毎日 Linkly AI を開いて最もよく見るのは、設定の奥に隠れているインデックスのページだという人がいました。
  • アプリのログを見て、ファイルが実際にどう処理されているかを確かめている人もいました。ほかの Agent が自分の資料のどこを読んだかまで気にかけていました。
  • 必要な情報が見えない、ファイル管理が簡素すぎる、クリップには専用画面すらなくフォルダを開くしかない、インデックスの状態を示す数字が合わない。そうした不満も数多くありました。

これらを整理して、私たちの間違いに気付きました。

Agent を最終ユーザーとして扱い、Agent のためには充実した強力な機能を作っていた一方で、人を置き去りにしていたのです。最初に満足させるべきなのは、その人たちでした。

Agent First という考え方そのものが間違っていたわけではありません。ただ、「Agent を優先する」「Agent のためのツールを作る」ことに意識が向きすぎていました。教育関連の製品にも似ています。実際に使うのは子どもであっても、保護者はそれ以上に重要な利用者です。子どもが気に入るだけでは足りず、保護者にも納得してもらう必要があります。

ユーザーが不安になるのは、機能が足りないからというより、何が起きているか見えないからであることが多い。**隠して安心してもらうのではなく、見えるようにする。その状態に慣れ、やがて気にせず使えるようになる。**そんな順序が必要でした。

正式版で目指したことと、変わったこと

このことが腑に落ちてから、私たちはすぐに方針を改め、二つの原則を定めました。

  1. まず人のニーズを満たし、同時に Agent のニーズも満たす。
  2. コンテキストを管理する拠点という原点に戻り、ユーザーが自分のコンテキストをきちんと管理できるようにする。

メイン画面の構成を見直し、メニューの中心を Chat などの AI 機能から、知識の収集と管理へ移しました。ここから Linkly AI v1.0 の主な機能をご紹介します。ほぼすべての変更が、先ほどのユーザーの声につながっています。

ダッシュボード

ホーム・インデックス管理・Agent 使用状況のダッシュボード

ユーザーが最もよく見ていたのが、設定の奥にあるインデックスのページなら、それを手前に出そう。1.0 では、一つのメインダッシュボードと二つの専用ダッシュボードを追加しました。

  • ホーム:蓄積した知識や利用状況の統計を表示し、自分のコンテキストの状態をひと目で把握できます。
  • インデックス管理:検索インデックスの統計を追加し、各数値を細かく検証しました。インデックス関連のスイッチも再設計して整理しています。解析に失敗したファイルを確認するパネルも追加し、どのファイルを、なぜ解析できなかったのかが分かるようになりました。
  • Agent 使用状況:Agent が何を読んだのかを知りたい。その要望に応え、Agent 関連のスイッチと統計を独立したダッシュボードにまとめ、使用ログも追加しました。

インデックス管理と Agent 使用状況には、サイドバーからいつでもアクセスできます。マウスを重ねると概要が表示され、クリックすると詳しい統計を確認できます。

ライブラリ

ライブラリとファイル管理

ファイル管理が分かりにくいという課題に応えるため、「ライブラリ」を主要機能として追加し、従来のフォルダとナレッジベースの設定を統合しました。操作しやすいフォルダツリーから、ナレッジベースのフォルダを直接追加・調整できます。さらに、次のことができます。

  1. ファイルやフォルダごとのインデックス状態を確認し、いつでも再解析を実行する。
  2. 任意のファイルやフォルダを右クリックして AI との対話を始める。または、プロンプトをコピーして、好きな Agent で対話を続ける。
  3. ファイルから解析された内容を確認する。
  4. ライブラリを作成・管理し、クラウド同期などを設定する。

クリップ

クリップの管理

「クリップ」を主要機能として追加しました。ブラウザ拡張機能で保存した記事を、ようやくアプリ内で直接読めるようになりました。シンプルなオフラインのクリッピング機能として、多くの「あとで読む」サービスの基本的な使い方をカバーします。そして、クリップした内容はすべて、自動的に自分のコンテキストの一部になります。

ノート

ノートと作成者フィルター

ノート機能は、ニクラス・ルーマンのツェッテルカステンに基づいています。機能はシンプルに保ち、複雑な書式を気にせず、日々考えたことをすぐに記録できるようにしています。今回は作成者フィルターを追加し、自分が書いたノートと Agent が書いたノートを絞り込めるようにしました。Agent はノートを読むだけでなく、編集や新規作成もできます。そのノートも区別しやすくなりました。

Agent から Linkly AI を使うのが、もっと簡単に

Agent 連携の設定

ほかの Agent と Linkly AI の連携も簡単になりました。ひとつのプロンプトを渡すだけで、Agent が連携や設定を自動で行うか、必要な手順を案内します。

また、公式 CLI と Skills の自動インストール・自動更新をアプリに追加しました。技術的な知識がない人も、この二つの導入や更新を気にする必要はありません。アプリを開けば、CLI と Skills を使う準備が整います。

検索、ライブラリ、クリップには、ワンクリックで Chat を始める機能と、右クリックでプロンプトをコピーする機能も追加しました。文書やフォルダについて、内蔵 Chat でも外部の Agent でも、すぐに対話を始められます。

検索、Chat、その他の使い勝手の改善

従来の検索ポップアップに加え、新しい資料検索画面を用意しました。フィルターや並べ替えを画面上に配置し、頻繁に検索したり、資料をじっくり探したりする用途に適した構成にしています。検索時の単語分割やハイライトも改善し、より正確で分かりやすくしました。

検索画面

Chat がメイン画面からなくなったわけではありません。これまで使ってくださっていた方もご安心ください。Chat の画面も、UI、フォント、行間などを調整して読みやすくしました。ツール呼び出しの表示も作り直し、思考やツール利用の流れを追いやすく、邪魔になりにくい形にしています。

Chat とツール呼び出し

初期設定ガイドを最後まで進められないユーザーが多いことを知り、正式版ではガイドを再設計しました。より簡潔で見やすくなり、一通り進めれば Linkly AI の主な機能を把握できる構成です。

新しい初期設定ガイド

アプリ全体のフォントも見直し、一部の画面では配色をより統一感のある落ち着いたものにしました。長く使うナレッジ管理ツールだからこそ、派手なアニメーションや見た目よりも、使い続けやすさと疲れにくさを大切にしています。

なぜ、長期的にコンテキスト管理を大切にするのか

デジタル世界における個人のデータは、これからますます重要になると私たちは考えています。自分だけのデータは、デジタル世界に映った自分自身であり、AI が使うコンテキストでもあります。そして将来、人と人との違いを生む大きな要素になっていくはずです。

AI や Agent の機能はいずれ似通っていくかもしれません。その中で一人ひとりの違いや強みをつくるのは、その人ならではの記録、気付き、集めたもの、経験、そして好みです。

AI 企業はどこもコンテキストの重要性を認識し、ユーザーや企業のコンテキストを得ようと競っています。しかし、自分の知識をすべて、何も留めずに AI 企業へ渡したいでしょうか。

一方では、AI に仕事をしてもらうために、個人のデータの一部を正確に渡す必要があります。Agent に何ができるかは、どんなコンテキストを受け取るかによって決まるからです。

他方では、**データを管理する権限は、自分の手元に残しておきたい。**アップロードした瞬間に、自分でコントロールできなくなることは望んでいません。

Linkly AI は最初のバージョンから、Local First × Agent First を軸に開発してきました。ユーザーのデータを守りながら、AI がそのデータを十分に活用できるようにする。その積み重ねが、時間とともに価値を増し、自分自身の成長につながるよう、両者のバランスを探っています。

モデルは変わり続け、新しい Agent も次々と登場します。それでも、記録と収集を続け、自分の手元のデータをきちんと管理していれば、AI の進歩についていき、その恩恵を受けられると考えています。


最後に、この半年をともに歩んでくださった数千人の初期ユーザーと、ベータ版のグループで熱心に意見をくださった数百人の皆さんに感謝します。1.0 のほぼすべての変更は、皆さんのフィードバック、不満の声、そして率直な提案から生まれました。

Linkly AI の紹介

linkly.ai で、AI 時代に自分のデータを継続的な価値へとつなげてみてください。